『フォスター卿の建築術』(2010)


先日、十三のシアターセブンに「フォスター卿の建築術」を見に行きました。
有名な第七芸術劇場の1階下にあり、入るとわずか36席のミニシアターです。
この作品は一日一回上映なので15:35~16:51という時間しか選択肢がありませんでした。

劇場も小さければ作品も長編というにはややコンパクトな76分という長さです。

ノーマン・フォスターは自分には正直あまり興味の沸かない建築家でして、好きでも嫌いでもありません。つまりは有名な作品はわかっていますが、それ以上に詳しくは知らない建築家だったのでちょうどいい機会かなと見てみようと思ったのです。

正直な感想は、一体何のために作られた映画なのかがまったくわからないものでした。
強いて言うなら、事務所のプロモーションのためにつくられたのかな。
代表作を美しく撮ること、ノーマン・フォスターの略歴に浅く触れること、友人やスタッフたちのインタビューなどで、全体的に表面的なものでとどまっています。
タイトルにある「建築術」について語る部分はほぼありません。強いて言うなら一言くらい。三角形は強度もあるし部材が減らせるのでとてもいい、くらいなものだった。
これだと学生の教材にもならないなと思いました。
原題は “How Much Does Your Building Weigh, Mr. Foster?” 直訳すると「フォスター君、きみが設計した建物の重さはいくらかね?」となるが、これは師であるバクミンスター・フラーがノーマン・フォスターに訊ねたことばで、フォスターは即答できず後で計算してみて総重量のうちおよそ半分が基礎部分だったというエピソードが紹介されているだけで終わっている。
じゃあ、それがどうなのかについては述べられていない。もっと軽くすることが必要である、あるいはなぜそうする必要性があるのか、などには詳しく触れられていない。
またフォスターの得意とするエネルギーや空気の流れについての説明は全くなかった。
もしかしたら心地よい音楽と浮遊するようなクレーンからの撮影でうとうとしている間に説明があったのかもしれないけれど。

ぼくが最も気に入ったシーンは、あるオフィスのアトリウム空間にリチャード・ロングがただただドローイングをしていく姿でした。

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