リドリー・スコット監督最近作『悪の法則』のブルーレイコメンタリーの中で、この映画で撮りたかったもののひとつに「発展に蝕まれる世界の姿」であると語っています。
この『罪の手ざわり』を見ると中国における高度に発展している過程において蝕まれた世界を見事に描いていると言えます。
シーンの間に物語を俯瞰するように挿入される都市の風景にそのテーマをそっと描いています。
タワーマンションが建ち並ぶ遠景の手前に瓦礫の山となっている荒廃した風景を同時に撮っていたりします。
現代の中国で実際に起こった事件をヒントに作られた4つの場所で4人が選んだものについて描かれた内容になっています。
公式サイトから引くと、山西省の男、重慶の男、湖北省の女、広東省の男の4つの物語を、グランドホテル形式ではなく、オムニバス形式に近い物語を引き継ぐようなリレー方式で語られます。
動的な物語と静的な物語が交互に描かれ、山西省の男と湖北省の女は激しい情感が表現されています。