月別アーカイブ: 2014年6月

『罪の手ざわり』(2013)

リドリー・スコット監督最近作『悪の法則』のブルーレイコメンタリーの中で、この映画で撮りたかったもののひとつに「発展に蝕まれる世界の姿」であると語っています。

この『罪の手ざわり』を見ると中国における高度に発展している過程において蝕まれた世界を見事に描いていると言えます。

シーンの間に物語を俯瞰するように挿入される都市の風景にそのテーマをそっと描いています。

タワーマンションが建ち並ぶ遠景の手前に瓦礫の山となっている荒廃した風景を同時に撮っていたりします。
現代の中国で実際に起こった事件をヒントに作られた4つの場所で4人が選んだものについて描かれた内容になっています。

公式サイトから引くと、山西省の男、重慶の男、湖北省の女、広東省の男の4つの物語を、グランドホテル形式ではなく、オムニバス形式に近い物語を引き継ぐようなリレー方式で語られます。

動的な物語と静的な物語が交互に描かれ、山西省の男と湖北省の女は激しい情感が表現されています。

公式サイト:http://www.bitters.co.jp/tumi/

『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』(2014)

公開日の6月21日土曜日梅田のTOHOシネマズ梅田シアター2の19:15開始の回で見ました。
残念ながらガラガラでした。TOHOシネマズ梅田で2番目に大きな劇場で475席(スクリーンサイズ5.7×13.3m)もあると空席が目立つと正直つらい。

別の映画での予告編で芦田愛菜の関西弁がなかなか上手いなと思って調べてみると西宮出身でした。上手いの当たり前ですね。ネイティヴやったんや。
ということもあってか、映画は思いの外よかったんです。
正直、ほとんど期待していなかったんだけど、いい映画でした。
ストーリーよりも彼女が演じるこっこ(渦原琴子)のキャラクターがとてもいい。
芦田愛菜の(今風に言うとすれば)巧過ぎる演技がわざとらしく見えるんじゃないかと予想していましたが、この頃の小学生ってそもそもわざとらしい。なのでむしろリアルでした。
タイトルの円卓は映画では説明がなかったんだけど、西加奈子の原作によると、「駅前の潰れた中華料理店『大陸』から譲り受けた」(Wikidepiaによる)らしいけれど、現実的には多分、部屋に入らないんじゃないかなと思う大きさです。

阪急電鉄沿線を歩くシーンや団地の風景から千里あたりかなと思って見ていると映画の真ん中らへんに太陽の塔の背中が見えるシーンが出てきたので、恐らく阪急千里線の北千里駅近郊と言う設定だろうと思います。
そういうロケーションだったり関西弁がこの映画の最大の魅力となっています。

『ゴジラ』(1954)


日本が世界に誇る怪獣映画の第1作である『ゴジラ』を見てきました。
太平洋戦争終了からわずか9年後の昭和29年、西暦1954年に日本でこんなクオリティ高い映画を作っていたというのに驚きます。

1954年3月1日に行なわれたビキニ環礁の水爆実験によってマグロ漁船第五福竜丸が被爆したことがきっかけで『ゴジラ』の企画が立てられ、同年11月3日には公開されました。脚本をわずか1週間で書き上げ(5月初旬)撮影開始が8月7日、51日かけて9月下旬にクランク・アップしたということです。
今見ればちゃっちい特撮シーンもありますが、モノクロ画像と相まって迫力ある映像に仕上がっています。

若い女性が電車の中で友達との雑談で「長崎の原爆から逃れて東京にやってきたのに、ここでも放射能にやられるかもしれないって一体どこに行けばいいの」とさらっと口にするシーンもあったりします。
水爆実験からはじまったということ、また戦後わずか9年で戦後復興のためにアメリカから援助を受けていたというと言う社会的背景もあって、ただの勧善懲悪ものではないストーリーとなっているのも素晴らしい。

この映画関西地区では6月20日までの上映で、いつでも1,000円で見られます。
もし映画館でご覧になる場合は出来るだけ前の席でご覧になることをお勧めします。

『X-MEN: フューチャー & パスト』(2014)


「X-メン」シリーズを初体験しました。しかも、というかどうせなら3Dで。
TOHOシネマズの3Dメガネが改良されていて、メガネ on メガネでも装着しやすくなっているのが嬉しい。

DCコミックと並ぶ二大アメコミ出版社であるマーベル・コミックの代表作のひとつがこのXメンシリーズです。
DCコミックはスーパーマンとバットマンシリーズ、マーベル・コミックはスパイダーマン、アベンジャーズ、アイアンマンなど。
親会社は現在DCコミックがワーナー・ブラザース、マーベル・コミックはディズニーになってますが、このXメンシリーズは20世紀FOXです。

5月30日に公開されたばかりということと、1日の映画の日と言うことで、劇場はほぼ満席。観るのを決めたのが1時間前だったので、すでに最前列しか空いていませんでした。
なぜ観ることにしたのかといいますと、ジェニファー・ローレンスが全裸に近い状態で出演していると言うこととファン・ビンビンが出演していると言うスケベ心からでした。
ファン・ビンビン(范冰冰)ってびっくりするほど美人なんですが、この映画ではその美貌があまりうまく発揮されていませんでした。
名前がすごい。日本語の響きからとるとすごいAV女優なんかと思うような名前です。

さて、前置きが長くなりましたが、今回「フューチャー&パスト」というサブタイトルがついています。「未来と過去」じゃあかっこ良くないからカタカタにしたんでしょうね。Xメンの舞台はそもそも未来を舞台にしたSFものですが、本作では1973年とを行き来するストーリーとなっています。

過去に移動する理屈がよくわからなかったのですが、そこをあまり追求しても意味がなさそうです。
それよりも1973年に世界が大きく変わることのきっかけとなることが起こるのです。
ほかの作品を見ていないからわからないのですが、このXメンにはマイノリティたちの苦悩が主軸にあります。
黒人差別だったり、ハンディキャップを持っている人たち、同性愛者、人種差別を受けている人々をXメンとして描いています。

全然違う映画ですが、たまたま一昨日録り置きしていた映画『天使の分け前』というケン・ローチ監督の作品を観ましたが、この作品も同じく社会的弱者がどうやって生きて行くかを描いていました。ストーリーも表現方法も全く違いますが、実は同じテーマを描いていると思います。

このXメンシリーズの原作者はスタン・リーという漫画原作者でスパイダーマン、超人ハルクも彼の作品です。
社会からはじき出されたマイノリティが特殊能力を持つことで社会に認められようとする設定が多いように思います。
そのことについて考えていたのですが、多くのヒーローものは日本のウルトラマンシリーズも含めて、そういう設定が基本になっているのがほとんどなんだなということに気づきながら帰ってきました。

今年のバレンタインデーに同性愛者であることをカミングアウトしたエレン・ペイジが出演していることもよくできたキャスティングだなと思いました。
監督のブライアン・シンガーはユダヤ人でありゲイであることを公言していて、Xメンたちに投影されていることがわかってきます。